つづき
「そうなんだ、いつから?」
普段明るくて気さくな彼女がケンカするイメージがなく、
とても意外だったと同時に
「昨日の夜です、、、」
そんなタイミングで誘ってしまったことを少し後悔しそうだった。
そして、なぜケンカしたのだろうと思いながらも
理由を聞くのを少しためらった。
すると彼女はお酒を一口飲んで続けた。
「実は、連休で旅行に行ったんです。彼の車で行ったんですけど、
帰り道渋滞がすごくて私いつのまにか寝ちゃってて、
家に着いたら起こしてくれたんですけど、それから彼が口をきいてくれなくて。」
そんな気にするようなことではないと思うけど、きっと彼のむしのいどころが悪かったのだろう。
「私、謝ったんです。でも、だめで、、、
帰って彼と話しいた方がいいとは思うんですけど、何て話しすればいいか分からなくて、
ごめんなさい。せっかく誘ってもらったのにこんな感じで。」
「いやぁ気にしないで、僕の方こそごめんね。」
このままでは、気まずくてしかたがない。
少し励まして仲直りして明日にはまた元気になってほしい。
「おつまみお待たせいたしました。」
すこし、詰まっていたところでつまみが出てきた。
「きっと、、、大丈夫だよ。
彼も一日あったから落ち着いてると思うし、帰ったら機嫌も直ってると思うよ。
何に対して怒ってるのかわからないけど、許してくれるよ。
ほら、食べよおいしそうだよ。」
気まずさのあまり適当な答えをしてしまった。というか他になんて言えばいいのかわからなかった。
「そうだといいんですけど。でも、私怖くて、、、」
ケンカの一つや二つどんなカップルにはあるだろうに、そんなに気にすることなのだろうか。
「みんな、ケンカくらいするよ~そんなに気にしなくても。」
なだめるので精一杯の僕は、内心マスターなのか髭の店員さんに助けを求めたかった。一緒に彼女を励ましてください。
「私、今の彼と付き合う前に、、、、、。」
彼女はそう言いながら話し始めた。
カラン。
「こんばんは、いらっしゃいませ。」
「こんばんは、今日は風が冷えるね。」
「そうですね、日が沈んだら余計に感じますね。最初、いつものでいいですか。」
「う~ん。まずそれで、」
常連なのだろう、男性客がやってきて話しながら奥のカウンター席に座った。
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